要介護認定・要支援認定
【概要】要介護・要支援認定とは?
【ひと言で簡単に説明】
要介護・要支援認定とは、何ですか?
要介護・要支援認定とは、簡単に言うと「介護サービスを利用するために必要となる認定」です。
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要介護・要支援認定のアウトライン
要介護・要支援認定とは、介護サービスを利用するために必要となる認定です。介護保険制度を利用するためには、まず要介護・要支援認定を受ける必要があります。
認定を受けるためには、市町村窓口へ申請を行い、コンピュータと介護認定審査会による2段階の判定受ける必要があります。要介護・要支援認定を受けたら、介護支援専門員(ケアマネ)あるいは保健師にケアプランを作成してもらい、その後介護サービスが利用可能となります。
要介護・要支援認定の対象者
介護保険の被保険者は次の2つに区分されています。
- 第1号被保険者:65歳以上の人
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
要介護・要支援認定の申請ができるのは、第1号被保険者と特定疾病を患っている第2号被保険者です。特定疾病については以下の記事にまとめているのでご確認ください。
実際には、第2号被保険者で要介護・要支援認定を受けている人は非常に少ないです!被保険者数は第1号が45%、第2号が55%ですが、認定を受けている人の中で第2号は約2%になっています!
要介護・要支援認定の流れ
要介護・要支援認定の流れをフローチャートにまとめます。
訪問調査の基本調査を利用
下記の3つを利用
- 一次判定の結果
- 訪問調査の特記事項
- 主治医意見書
図にまとめると次のようになります!
それぞれの段階について次の項目から順番に解説していきます!
訪問調査
訪問調査では、調査員が家庭に派遣され、生活状態などについて聞き取り調査を行います。この調査結果は、一次判定・二次判定の両方で用いられます。
訪問調査では全国共通の認定調査票が使用されており、74項目の基本調査と特記事項が記載されます。主な調査内容を次の通りです。
- 概況調査
- 現在利用している介護サービスについて
- 同居家族など、おかれている環境
- 基本調査
- 身体機能・起居機能
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会性
- その他(過去14日間で受けた特別な治療)
- 特記事項
- 基本調査項目の内、具体的に記載しておくべき内容
実際の認定調査票を以下に示します!ご確認ください!
主治医意見書
要介護・要支援認定の申請を受けると、市町村は申請者の主治医に対して主治医意見書の提出を依頼します。これには次の項目が記載されています。
- 傷病に関する意見
- 特別な医療
- 心身の状態に関する意見
- 生活機能とサービスに関する意見
- 特記すべき事項
主治医意見書は、二次判定に利用されます。また、認定後のケアプランの作成にも利用されることがあります。
大阪府医師会による主治医意見書を例として掲載します!ご確認ください!
一次判定
一次判定はコンピュータによって行われます。このときに用いられるのが、訪問調査の基本調査です。次の5つの分野における「介護の手間」を時間に換算した要介護認定等基準時間が計算されます。
- 直接生活介助
- 入浴、排せつ、食事などの介護
- 間接生活介助
- 洗濯、掃除などの家事援助
- 問題行動関連行為
- 徘徊時に近所を探し回る、暴力行為への対応など
- 機能訓練関連行為
- 歩行訓練、日常生活訓練などの機能訓練
- 医療関連行為
- 輸液の管理、じょくそうの処置などの診療の補助
要介護認定等基準時間は、介護の手間を相対的に表したものであり、実際に何分かかるかを表したものではありません!ご注意ください!
認知症がある場合は、これに認知症加算が加わり最終的な要介護認定等基準時間が計算されます。この基準時間を下記の表と照らし合わせて、暫定的な要介護・要支援度が決定されます。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
---|---|
要支援2 要介護1 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2と要介護1で基準時間が同じですが、原則、要支援2と判断されます!認知機能が低下していたり、短期間で重症化する可能性があったりすると、要介護1と判定されます!
二次判定
二次判定は介護認定審査会によって行われます。このとき、審査基準として用いられるのが次の3点です。
- 一次判定の結果
- 訪問調査の特記事項
- 主治医意見書
これらの内容を踏まえて、要介護・要支援度が決定されます。介護認定審査会の決定に基づき、最終的には各市町村によって認定が与えられます。
介護認定審査会は、各市町村に設置されています!保健・医療・福祉に関する学識経験者5名で構成され、通常医師が1名設置されています!
要介護・要支援度の目安
要介護状態・要支援状態は、介護保険法によって次のように定義されています。
- 要介護状態の定義
-
この法律において「要介護状態」とは、身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要介護状態区分」という。)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。
介護保険法第7条の1
- 要支援状態の定義
-
この法律において「要支援状態」とは、身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要支援状態区分」という。)のいずれかに該当するものをいう。
介護保険法第7条の2
法律の条文ではイメージしにくいので、それぞれの状態について簡単に説明していきます!
要支援1
要支援1は、基本的に1人で生活できる状態です。ただし、生活機能の一部に若干の低下が見られ、部分的な介護・介助を必要とします。
介護予防サービスを利用することができ、こうしたサービスの利用で要介護状態へ進行することを予防することができます。
要支援2
要支援2も、基本的に1人で生活できる状態です。ただし、生活機能の一部に低下が見られ、要支援1よりも多くの介護・介助を必要とします。
要支援1よりも身体的機能が低下しているのが特徴です!
介護予防サービスを利用することができ、こうしたサービスの利用で要介護状態へ進行することを予防することができます。
要介護1
要介護1は、日常生活において様々な手助けが必要となる状態です。要支援2と比較して、運動能力は大きく悪化しているわけではありません。しかし、思考力や理解力の低下がみられ、介護が大変だと感じ始めるタイミングです。
要介護2
要介護2は、日常の基本動作において介助が必要になり始める状態です。要介護1よりも身体能力が低下しており、起立や歩行が自力で行えないことが多くなります。また、思考力、理解力のさらなる低下がみられ、会話が噛み合わないことも増えてきます。介護に時間を取られると感じるタイミングです。
要介護3
要介護3は、日常生活の動作に全般的な手助けが必要になる状態です。要介護2では食事などにおいて時折介助を行う程度ですが、要介護3では常に介護が必要となります。要介護3の原因としての最多は認知症であり、要介護2以下と比較して認知機能も大きく低下してくる段階です。
自宅での介護が難しくなり、施設に入居する人が多くなってくるタイミングです。
介護老人福祉施設(特養)では、入所の基準として要介護3以上としています!こちらの記事も合わせてご確認ください!
要介護4
要介護4は、日常生活に全面的な介護が必要となった状態です。要介護3と比べて寝たきりに近くなっています。車椅子に乗るときや姿勢を変えるときにも介助が必要となります。理解力もさらに低下しており、意思疎通が困難になっています。
要介護5
要介護5は、日常生活のほぼ全てに介助が必要な状態です。最重度の要介護状態で、介護を常に受けていないと生活が不可能な段階です。1日中ほとんど寝たきりの人も多く、意思疎通が非常に困難になっています。
【データ】数値で現状を確認
令和3年6月現在
要介護・要支援認定を受けている第1号被保険者:6,735,411人
要介護・要支援認定を受けている第2号被保険者:130,494人
【定義】
- タップで確認
-
介護(予防)給付を受けようとする被保険者は要介護(要支援)者に該当すること及びその該当する要介護(要支援)状態区分について市町村の認定を受けなければならない。
介護保険法第19条第1項及び第2項
【Q&A】要介護・要支援認定に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】
【関連キーワード】
【参考サイト】
【マンガ(漫画)】
【ドラマ】
【国試対策】国家試験の過去問解説
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医師国家試験
要介護認定の流れについて正しいのはどれか。
医師国家試験 第106回 E-11 (2012/平成24)
- a:介護認定審査会の判定→要介護認定の申請→主治医意見書の作成
- b:介護認定審査会の判定→主治医意見書の作成→要介護認定の申請
- c:主治医意見書の作成→介護認定審査会の判定→要介護認定の申請
- d:要介護認定の申請→介護認定審査会の判定→主治医意見書の作成
- e:要介護認定の申請→主治医意見書の作成→介護認定審査会の判定
- 解答を見る
-
- a:介護認定審査会の判定→要介護認定の申請→主治医意見書の作成
- 誤り。
- b:介護認定審査会の判定→主治医意見書の作成→要介護認定の申請
- 誤り。
- c:主治医意見書の作成→介護認定審査会の判定→要介護認定の申請
- 誤り。
- d:要介護認定の申請→介護認定審査会の判定→主治医意見書の作成
- 誤り。
- e:要介護認定の申請→主治医意見書の作成→介護認定審査会の判定
- 正しい。
- a:介護認定審査会の判定→要介護認定の申請→主治医意見書の作成
地域の保健・医療・福祉・介護について正しいのはどれか。
医師国家試験 第110回 E-07 (2016/平成28)
- a:主治医の意見は要介護認定に影響しない。
- b:地域包括支援センターは在宅医療を提供する。
- c:介護老人保健施設は居宅サービスの一つである。
- d:調剤薬局の薬剤師は訪問指導をしてはいけない。
- e:訪問看護ステーションへの指示書は医師が作成する。
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- a:主治医の意見は要介護認定に影響しない。
- 誤り。
- b:地域包括支援センターは在宅医療を提供する。
- 誤り。
- c:介護老人保健施設は居宅サービスの一つである。
- 誤り。
- d:調剤薬局の薬剤師は訪問指導をしてはいけない。
- 誤り。
- e:訪問看護ステーションへの指示書は医師が作成する。
- 正しい。
- a:主治医の意見は要介護認定に影響しない。
90 歳の女性。夫との 2 人暮らしで、年金で生活している。認知機能は正常である。日中はベッド上で の生活が主であるが、座位は保つことができ、車椅子には介助で移乗できる。
要介護認定を受ける際、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の判定に必要な因子はどれか。2 つ選べ。医師国家試験 第106回 G-57 (2012/平成24)
- a:座位の可否
- b:同居者の人数
- c:認知症の重症度
- d:世帯における収入
- e:車椅子移乗の可否
- 解答を見る
-
- a:座位の可否
- 正しい。
- b:同居者の人数
- 誤り。
- c:認知症の重症度
- 誤り。
- d:世帯における収入
- 誤り。
- e:車椅子移乗の可否
- 正しい。
- a:座位の可否
看護師国家試験
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ケアマネジャー試験
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