医療連携
【概要】医療連携とは?わかりやすく解説
【ひと言で簡単に説明】
医療連携とは、何ですか?
簡単に言うと、「病院や診療所など、別々の医療機関同士が協力すること」です。
医療機関と医療機関(医療連携)、医療機関と介護施設(医療介護連携)の連携を指します。これらの機関が協力して、患者の状態に応じたサービスの提供を目指しています。
【重要ポイント3選】
【練習問題】
地域医療でのチームワークの形成で優先度が低いのはどれか。
医師国家試験 第105回 F-06 (2011/平成23)
- a:家族との連携
- b:年功序列の尊重
- c:医療と介護との連携
- d:保健と福祉との連携
- e:地域連携クリニカルパスの利用
- 解答を見る
-
- a:家族との連携
- 誤り。
- b:年功序列の尊重
- 正しい。
- c:医療と介護との連携
- 誤り。
- d:保健と福祉との連携
- 誤り。
- e:地域連携クリニカルパスの利用
- 誤り。
- a:家族との連携
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【解説】詳しい説明でしっかり理解
病病連携
病院同士の連携を病病連携と呼びます。例えば、市中病院(町中の普通の病院)に入院している患者に高度な医療が必要となった場合、特的機能病院(大学病院)へ転院し治療を受けることがあります。他にも、急性期を脱した患者が、回復期リハビリテーション病院など、回復期を専門とする病院へ転院されるという例もあります。このとき、急性期から回復期、維持期を、切れ目のない一貫した治療を提供することが求められており、そのための計画表である地域連携クリニカル(クリティカル)パスに基づいてます。
病診連携
診療所のかかりつけ医が、詳しい検査や入院が必要だと判断した場合、病院へと引き継ぎます。これを「紹介」と呼びます。逆に、病院での治療が功を奏し、通院治療で十分対応できるようになった場合、診療所へと引き継ぎます。これを「逆紹介」と呼びます。
病診連携により、大きな病院での患者さんの待ち時間が短縮されるというメリットがあります。また、診療所では診れないような患者が病院へ来院することが担保されるため、本来病院に期待されている、入院・手術といった高度な機能を果たせるようになります。
しかし、日本ではまだ電子カルテの整備が十分なされていないため、スムーズな病診連携の障壁となっています。
開放型病床
病診連携の形態の一つです。近隣病院のベッドを地域の診療所の医師に開放し、病院の医師とかかりつけ医の双方で、患者の診療を行う制度です。患者が病院へ入院した後も、診療所のかかりつけ医が継続して主治医として医療行為を行うことが可能となり、患者さんは一貫した治療を受けることができます。
診診連携
診療所同士の連携を診診連携と呼びます。高齢化に伴い、複数の疾患を患い、何件も診療所に通院している患者が増加しています。そのため、異なる診療科の診療所同士の連携が必須となってきています。例えば、糖尿病内科は、合併症である目の検査のために、近隣の眼科と連携して糖尿病患者を診ていることがあります。他にも、地域に胃カメラに精通している診療所がある場合、近くの診療所からその診療所へ胃の精査を依頼することもあります。
医科歯科連携
口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防につながる他、患者の在院日数を減らしたり、全身状態を改善したりすることが分かってきました。このため、医科と歯科が連携して、入院患者の口腔ケアを行うのが医科歯科連携です。ただ、実際には歯科が併設されている病院は2割程度(平成29年現在)となっています。
医療介護連携
医療と介護の連携を医療介護連携と呼びます。これには介護が一気に必要になるのか、それとも徐々に必要となるのかの、大きく2パターンあります。
一つ目は、脳卒中などの急性の病気を発症し、麻痺などが出てしまいリハビリ・介護が必要になるタイプです。このとき、まずは病院で急性期・回復期医療を行い、その後介護サービスが必要となります。その場合、医療保険から介護保険へと移行することになります。この移行をスムーズに行うため、医療・介護関係者の相互連携が求められます。これが医療介護連携です。もちろん、在宅あるいは施設療養中に肺炎などを発症して、病院へ入院し治療を受けるという、先ほどとは逆向きの、介護保険から医療保険もあり得ます。
二つ目は、高齢になり心身機能が徐々に衰え、足腰が弱くなって少しずつ介護が必要になるタイプです。こうした場合、一つ目のタイプのようないきなり入院ということはなく、在宅で介護サービスを利用することがほとんどです。こうした場合、高齢者の総合窓口である地域包括支援センターにまずは相談し、医療・福祉・介護の全ての観点から支援を受けることになります。このとき、あらゆる職種の人々が関わることになり、その中には医療職・介護職の人もいます。これを、医療介護連携と呼びますが、要するに、地域包括ケアシステムの中に医療も介護も組み込まれている、ということです。
医療介護連携の例として便宜的に2パターンに区別していますが、どちらかしかあり得ないという話ではありません。
看看連携
看護職は、医療・介護・福祉などあらゆる場面で活躍しています。そのため、地域包括ケアシステムを構築する上で、医療・介護・福祉の連携の中心として看護職の働きが期待されています。これが看看連携です。
例えば、退院時に地域の訪問看護ステーションや施設看護職との連携や、看取り時に訪問看護と施設看護職との連携などがあります。
【看看連携】
地域の看護職同士が、対象者の生活を支えるために、同じ目標をもって、信頼しあい、対等の立場で協働すること
病院看護管理者のための看看連携体制の構築に向けた手引き P3
【データ】数値で現状を確認
【定義】
【Q&A】〇〇に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】
【関連キーワード】
【参考サイト】
【ドラマ・漫画】
【国試対策】国家試験の過去問解説
資格試験の過去問で知識を整理しましょう!試験対策にもお役立てください!
医師国家試験
40歳の女性。か月前に腹部膨満を主訴に婦人科外来を受診し、精査の結果卵巣腫瘍の診断を受け、摘出手術を受けるため週間前に入院した。身長104cm、体重25kg。骨形成不全症のため、年回整形外科を定期受診している。歩行困難があり日常的に電動車いすを用いている。夫と5歳の男児との3人暮らし。ネットショップを経営している。日常生活をサポートするため数人のボランティアが入れ替わりで支援している。術後経過は良好で術中病理診断の結果は良性であった。入院中に新たな機能障害は認めなかった。
入院中の主治医として退院に向けて必要なのはどれか。
医師国家試験 第116回 B-29 (2022/令和4)
- a:退院後安静などの療養指導
- b:介護福祉士資格を持つヘルパーの手配
- c:かかりつけの整形外科担当医へ情報提供
- d:日常生活動作を支援する福祉器具の貸与の手配
- e:在宅リハビリテーションを行う理学療法士の手配
- 解答を見る
-
- a:退院後安静などの療養指導
- 誤り。
- b:介護福祉士資格を持つヘルパーの手配
- 誤り。
- c:かかりつけの整形外科担当医へ情報提供
- 正しい。
- d:日常生活動作を支援する福祉器具の貸与の手配
- 誤り。
- e:在宅リハビリテーションを行う理学療法士の手配
- 誤り。
- a:退院後安静などの療養指導
地域連携クリニカルパスについて誤っているのはどれか。
医師国家試験 第111回 F-14 (2017/平成29)
- a:診療の標準化に役立つ。
- b:施設間で診療計画を共有できる。
- c:施設間の治療成績の比較に用いる。
- d:脳卒中患者の在宅復帰に有用である。
- e:患者が治療の経過を理解するのに役立つ。
- 解答を見る
-
- a:診療の標準化に役立つ。
- 正しい。
- b:施設間で診療計画を共有できる。
- 正しい。
- c:施設間の治療成績の比較に用いる。
- 誤り。
- d:脳卒中患者の在宅復帰に有用である。
- 正しい。
- e:患者が治療の経過を理解するのに役立つ。
- 正しい。
- a:診療の標準化に役立つ。
医療計画の内容として最も適切なのはどれか。
医師国家試験 第108回 E-04 (2014/平成26)
- a:日常生活圏域の設定
- b:老人福祉施設の整備の推進
- c:特定健康診査の実施率の向上
- d:地域連携クリニカルパスの普及
- e:医療費の効率的な提供に関する達成目標の設定
- 解答を見る
-
- a:日常生活圏域の設定
- 誤り。
- 「日常生活圏域の設定 」は医療計画ではなく「介護保険事業支援計画」 です。また、医療計画で設定するのは「二次医療圏」です。
- b:老人福祉施設の整備の推進
- 誤り。
- 医療計画ではなく「高齢者保健福祉計画」です
- c:特定健康診査の実施率の向上
- 誤り。
- 特定健康診査の根拠法は「高齢者医療確保法」です。
- d:地域連携クリニカルパスの普及
- 正しい。
- e:医療費の効率的な提供に関する達成目標の設定
- 誤り。
- a:日常生活圏域の設定
55歳の男性。左中大脳動脈領域の脳梗塞で 2 週前から入院中である。意識は清明。右片麻痺と失語症 とが残存している。食欲はあり、臥位から座位になることがかろうじて自力でできるものの、車椅子やポータブルトイレへの移動には介助が必要である。患者本人はリハビリテーションに意欲的で、自宅での 生活を希望している。妻と2人暮らしで、同じ町内には娘が暮らしている。
地域連携クリニカルパスに沿った対応はどれか。2つ選べ。
医師国家試験 第106回 E-55 (2012/平成24)
- a:成年後見制度の利用を勧める。
- b:特定機能病院への転院を勧める。
- c:特別養護老人ホーム入所の手続きを行う。
- d:医療ソーシャルワーカーとの面談を設定する。
- e:回復期リハビリテーション病棟を有する病院に患者情報を提供する。
- 解答を見る
-
- a:成年後見制度の利用を勧める。
- 誤り。
- b:特定機能病院への転院を勧める。
- 誤り。
- c:特別養護老人ホーム入所の手続きを行う。
- 誤り。
- d:医療ソーシャルワーカーとの面談を設定する。
- 正しい。
- e:回復期リハビリテーション病棟を有する病院に患者情報を提供する。
- 正しい。
- a:成年後見制度の利用を勧める。
地域医療でのチームワークの形成で優先度が低いのはどれか。
医師国家試験 第105回 F-06 (2011/平成23)
- a:家族との連携
- b:年功序列の尊重
- c:医療と介護との連携
- d:保健と福祉との連携
- e:地域連携クリニカルパスの利用
- 解答を見る
-
- a:家族との連携
- 誤り。
- b:年功序列の尊重
- 正しい。
- c:医療と介護との連携
- 誤り。
- d:保健と福祉との連携
- 誤り。
- e:地域連携クリニカルパスの利用
- 誤り。
- a:家族との連携
病診連携の目的として誤っているのはどれか。
医師国家試験 第97回 E-46 (2003/平成15)
- a:病院の機能を活性化する。
- b:患者に良い医療を提供する。
- c:大病院指向を高める。
- d:診療所の機能を活発化する。
- e:高額医療機器を共用する。
- 解答を見る
-
- a:病院の機能を活性化する。
- 正しい。
- b:患者に良い医療を提供する。
- 正しい。
- c:大病院指向を高める。
- 誤り。
- d:診療所の機能を活発化する。
- 正しい。
- e:高額医療機器を共用する。
- 正しい。
- a:病院の機能を活性化する。
看護師国家試験
地域連携クリニカルパスについて正しいのはどれか。
看護師国家試験 第103回 PM-046 (2014/平成26)
- 1:診療報酬の評価の対象ではない
- 2:市町村を単位とした連携である
- 3:記載内容は医師の治療計画である
- 4:医療機関から在宅まで継続した医療を提供する
- 解答を見る
-
- 1:診療報酬の評価の対象ではない
- 誤り。
- 2:市町村を単位とした連携である
- 誤り。
- 3:記載内容は医師の治療計画である
- 誤り。
- 4:医療機関から在宅まで継続した医療を提供する
- 正しい。
- 1:診療報酬の評価の対象ではない