医療圏(一次医療圏・二次医療圏・三次医療圏)
【概要】医療圏とは?わかりやすく解説
【ひと言で簡単に説明】
医療圏とは、何ですか?
医療圏とは、簡単に言うと「医療を届けるためのちょうど良いエリア設定」です。
狭い「一次医療圏」、中間の「二次医療圏」、広い「三次医療圏」があります。
【重要ポイント3選】
【練習問題】
二次医療圏について正しいのはどれか。
医師国家試験 第112回 C-15 (2018/平成30)
- a:都道府県が定める。
- b:特定機能病院を設置する。
- c:ドクターヘリを配備する。
- d:地域保健法によって規定される。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 解答を見る
-
- a:都道府県が定める。
- 正しい。
- b:特定機能病院を設置する。
- 誤り。
- c:ドクターヘリを配備する。
- 誤り。
- d:地域保健法によって規定される。
- 誤り。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 誤り。
- a:都道府県が定める。
- 詳しい解説
-
- a:都道府県が定める。
- 正しい。
- ひっかけとしては、「医療機関」や「市町村」がありますのでご注意ください。
- b:特定機能病院を設置する。
- 誤り。
- 特定機能病院は「大学病院+いくつかの大病院」で、令和4(2022)年12月時点で88病院です。一方で、二次医療圏は現在335あるため、二次医療圏ごとに特定機能病院を設置することはできません。例えば沖縄県には二次医療圏が5つありますが、特定機能病院は琉球大学病院だた1つです。では「地域医療支援病院」なら正解なのかというと、それも違います。多くの二次医療圏には地域医療支援病院がありますが、例えば沖縄県の「宮古二次医療圏(宮古島市・多良間村)」には地域医療支援病院はありません。
- c:ドクターヘリを配備する。
- 誤り。
- 2022年4月現在、日本全国には56機のドクターヘリがあります。京都府以外の各都道府県には1機以上が配備されていますが、二次医療圏335箇所への設置は現実的ではありませんし、そこまでは求められていません。ちなみに三次医療圏が唯一複数(6つ)ある北海道(6つ)でも、ドクターヘリは4機(全国最多)です。
- d:地域保健法によって規定される。
- 誤り。
- 地域保健法ではなく「医療法」です。
- 地域保健法では保健所(設置は義務)や地域保健センター(設置は任意)などが記載されています。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 誤り。
- 最多377万人の横浜医療圏(神奈川県)から、最少2万人を下回る隠岐医療圏(島根県)まで、人口の規模は様々です。あくまでも、5疾病5事業を中心に、効果的・効率的に医療が行き通るエリア分けが二次医療圏です。人口は参考値の1つです。
- a:都道府県が定める。
【具体例】イメージを掴む
医療圏の具体例はありますか?
ここでは福井県の医療圏を見てみましょう。
- 一次医療圏は、福井県にある17の市町村がそのまま設定されています。
- 二次医療圏は、2〜6つの市町村(一次医療圏)で、合計4つ設定されています。
- 三次医療圏は、福井県全体で1つとなります。
※福井県には「村」がないため、原文では「市町」と表記されています。
皆さんの住んでいる都道府県の医療圏の設定を、ぜひ一度見てください!医療計画の最初の方に記載されています。地域連携の会では、タイトルに医療圏の名前が入ることがよくありますね!
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【解説】詳しい説明でしっかり理解
一次医療圏
市町村が1単位で、住民にとって最も利用頻度が高い地域単位です。かかりつけ医によるプライマリケアが主要な機能となっています。住民にとっては最も身近であるものの、実は医療計画による規定はなく、厚生労働省などの資料にもほとんど登場しません。
二次医療圏
地理的条件、交通事情などを基に指定された広域市町村(複数の市町村)が1単位で、一般的な入院医療の提供がその目的です。病床種別の内、一般病床、療養病床が二次医療圏単位で規定されています。ところが、近年医療機関の専門化、情報社会の進行に伴う患者の指向性の多様化、交通網の発達に伴い、二次医療圏間での患者の移動が増えています。このため、2015年4月から、二次医療圏単位での効率的医療提供の実現を目指し、地域医療構想が策定されています。
335医療圏(令和3(2021)年10月時点)
「市町村数1,718」÷「二次医療圏数335」= 5.12…
「市町村:5つ」=「二次医療圏:1つ」のイメージで!
2022年4月時点の市町村数
1,718市町村(市792・町743・村183) ※北方領土の6村を含めると1,724となる。総務省公式ホームページ「広域行政・市町村合併 本日の市町村数」
三次医療圏
基本的には都道府県が1単位で、高度な医療・特殊な医療の提供がその目的です。敷地面積が著しく広い北海道のみ、道内に6つの三次医療圏が設定されています。病床種別の内、精神病床、感染症病床、結核病床が三次医療圏単位で規定されています。
「三次医療圏の数」=「北海道6つ」+「都府県46つ」=52
*補足
都道府県は、医療計画の中で、病院の病床及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として、二次医療圏、三次医療圏を定めています。
三次医療圏が扱う特殊な医療
- 臓器移植等の先進的技術を必要とする医療
- 高圧酸素療法等特殊な医療機器の使用を必要とする医療
- 先天性胆道閉鎖症等発生頻度が低い疾病に関する医療
- 広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特に専門性の高い救急医療等
【データ】数値で現状を確認
面積広い!ランキングTOP3
順位 | 二次医療圏名 | 面積 |
---|---|---|
1位 | 十勝(北海道) | 1万828 ㎢ |
2位 | 釧路(北海道) | 5,997 ㎢ |
3位 | 北網(北海道) | 5,542 ㎢ |
4位 | 会津若松(福島) | 5,420 ㎢ |
5位 | 遠紋(北海道) | 5,148 ㎢ |
(参考) | 東京都の面積 | 2,194 ㎢² |
面積狭い!ランキングTOP3
順位 | 二次医療圏名 | 面積 |
---|---|---|
1位 | 区中央部(東京:千代田区/中央区/港区/文京区/台東区) | 63 ㎢ |
2位 | 川崎南部(神奈川:川崎区/幸区/中原区) | 64 ㎢ |
3位 | 区西部(東京:新宿区/中野区/杉並区) | 67 ㎢ |
4位 | 北多摩北部(東京) | 77 ㎢ |
5位 | 川崎北部(神奈川:高津区/宮前区/多摩区/麻生区) | 79 ㎢ |
(参考) | 琵琶湖の面積 | 670 ㎢² |
以前は「尾張中部二次医療圏(愛知)42㎢」が面積最小でしたが、第7次医療計画の際「名古屋・尾張中部 医療圏368㎢」へ統合されました。
国が定める医療計画作成指針では、地域医療構想における構想区域と2次医療圏が異なっている場合は、構想区域に2次医療圏を合わせるよう見直しを行うことが適当とされていることから、名古屋医療圏と尾張中部医療圏については、統合して1つの医療圏とします。
愛知県地域保健医療計画 令和4(2022)年3月 P22
人口多い!ランキングTOP5
順位 | 二次医療圏名 | 人口 |
---|---|---|
1位 | 横浜(神奈川) | 377万人 |
2位 | 大阪市(大阪) | 275万人 |
3位 | 名古屋・尾張中部(愛知) | 250万人 |
4位 | 札幌(北海道) | 240万人 |
5位 | 区西北部(東京:区馬練/区橋板/区北/区島豊) | 200万人 |
(参考) | 京都府全体の人口 | 255万人 |
100万人以上の二次医療圏は25ヶ所あります!ちなみに最も人口が少ない都道府県は鳥取県で、約54万人です!
人口少ない!ランキングTOP3
順位 | 二次医療圏名 | 面積 |
---|---|---|
1位 | 隠岐(島根) | 1.9万人 |
2位 | 上五島(長崎) | 2.0万人 |
3位 | 南檜山(北海道) | 2.1万人 |
4位 | 島しょ(東京) | 2.4万人 |
5位 | 壱岐(長崎) | 2.5万人 |
(参考) | 東京ドーム収容人数(野球) | 4万3500人 |
10万人未満の二次医療圏は24ヶ所あります!島々や北海道が多いです!「へき地医療」が行われる地域とも言えます。
【定義】
- タップで確認
-
第三十条の四 都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定めるものとする。
2 医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
- (略)
- 十四 主として病院の病床(次号に規定する病床並びに精神病床、感染症病床及び結核病床を除く。)及び診療所の病床の整備を図るべき地域的単位として区分する区域の設定に関する事項
- (二次医療圏の定義)
- 十五 二以上の前号に規定する区域を併せた区域であつて、主として厚生労働省令で定める特殊な医療を提供する病院の療養病床又は一般病床であつて当該医療に係るものの整備を図るべき地域的単位としての区域の設定に関する事項
- (三次医療圏の定義)
一次医療圏の定義は「これ」というものがないです。一次医療圏はイコール市区町村と考えてOKです!
【Q&A】医療圏に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】
- 医療圏のエリア区分は、一次救急、二次救急、三次救急のエリア区分と同じですか?
-
いいえ、別々です。
意味合いとしては近いですが、例えば「一次医療圏で一次救急を行い、二次医療圏で二次救急を行い・・・」と綺麗に対応しているわけではありません。
- 地域医療構想区域との関係は?
-
原則一致しています。
三重県のみ4つの二次医療圏に対し、8つの構想区域が設定されています。
地域医療構想は2025年問題への対策、第7次医療計画は6年ごとの計画で次の期限が2024年です。そのため少し意味合いが違うのですが、国からの通知でも原則一致させることが求められています。
地域医療構想は平成37年(2025 年)のあるべき医療提供体制を目指すものであるが、設定した構想区域が現行の医療計画(多くの都道府県で平成25年度(2013年度)~平成29年度(2017年度))における二次医療圏と異なっている場合は、平成36年(2024 年)3月が終期となる平成30年度(2018年度)からの次期医療計画の策定において、最終的には二次医療圏を構想区域と一致させることが適当である。
地域医療構想策定ガイドラインP11
- 二次医療圏は、人口30万人を基準として設定されるのですか?
-
いいえ、人口規模は参考値の1つであり、基準ではありません。
医療計画作成指針では、「20万人未満での設定は本当に大丈夫?」と心配するような文言もありますが、これもあくまで参考数値であり、「設定基準」とはいえません。
人口規模が20万人未満の二次医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられる場合(特に、流入患者割合が20%未満であり、流出患者割合が20%以上である場合)、その設定の見直しについて検討する。
医療計画作成指針P17ちなみに、政令指定都市が50万人、中核市が20万人(平成27(2015)年度以前は30万人)が要件です。
- 老人福祉圏域との関係は?
-
執筆中
【関連キーワード】
【参考サイト】
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058300.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000946893.pdf
【ドラマ・漫画】
【国試対策】国家試験の過去問解説
資格試験の過去問で知識を整理しましょう!試験対策にもお役立てください!
医師国家試験
へき地医療について正しいのはどれか。
医師国家試験 第113回 C-06 (2019/令和1)
- a:へき地医療支援機構は市町村ごとに設置する。
- b:へき地医療診療所は一次医療圏毎に設置されている。
- c:へき地保健医療計画は地域医療支援病院が策定する。
- d:へき地医療拠点病院は代診医派遣の役割を担っている。
- e:へき地巡回診療車は地域の救命救急センターから派遣される。
- 解答を見る
-
- a:へき地医療支援機構は市町村ごとに設置する。
- 誤り。
- b:へき地医療診療所は一次医療圏毎に設置されている。
- 誤り。
- c:へき地保健医療計画は地域医療支援病院が策定する。
- 誤り。
- d:へき地医療拠点病院は代診医派遣の役割を担っている。
- 正しい。
- e:へき地巡回診療車は地域の救命救急センターから派遣される。
- 誤り。
- a:へき地医療支援機構は市町村ごとに設置する。
二次医療圏について正しいのはどれか。
医師国家試験 第112回 C-15 (2018/平成30)
- a:都道府県が定める。
- b:特定機能病院を設置する。
- c:ドクターヘリを配備する。
- d:地域保健法によって規定される。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 解答を見る
-
- a:都道府県が定める。
- 正しい。
- b:特定機能病院を設置する。
- 誤り。
- c:ドクターヘリを配備する。
- 誤り。
- d:地域保健法によって規定される。
- 誤り。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 誤り。
- a:都道府県が定める。
- 詳しい解説
-
- a:都道府県が定める。
- 正しい。
- ひっかけとしては、「医療機関」や「市町村」がありますのでご注意ください。
- b:特定機能病院を設置する。
- 誤り。
- 特定機能病院は「大学病院+いくつかの大病院」で、令和4(2022)年12月時点で88病院です。一方で、二次医療圏は現在335あるため、二次医療圏ごとに特定機能病院を設置することはできません。例えば沖縄県には二次医療圏が5つありますが、特定機能病院は琉球大学病院だた1つです。では「地域医療支援病院」なら正解なのかというと、それも違います。多くの二次医療圏には地域医療支援病院がありますが、例えば沖縄県の「宮古二次医療圏(宮古島市・多良間村)」には地域医療支援病院はありません。
- c:ドクターヘリを配備する。
- 誤り。
- 2022年4月現在、日本全国には56機のドクターヘリがあります。京都府以外の各都道府県には1機以上が配備されていますが、二次医療圏335箇所への設置は現実的ではありませんし、そこまでは求められていません。ちなみに三次医療圏が唯一複数(6つ)ある北海道(6つ)でも、ドクターヘリは4機(全国最多)です。
- d:地域保健法によって規定される。
- 誤り。
- 地域保健法ではなく「医療法」です。
- 地域保健法では保健所(設置は義務)や地域保健センター(設置は任意)などが記載されています。
- e:人口30万人を基準として設定される。
- 誤り。
- 最多377万人の横浜医療圏(神奈川県)から、最少2万人を下回る隠岐医療圏(島根県)まで、人口の規模は様々です。あくまでも、5疾病5事業を中心に、効果的・効率的に医療が行き通るエリア分けが二次医療圏です。人口は参考値の1つです。
- a:都道府県が定める。
地域包括ケアシステムについて誤っているのはどれか。
医師国家試験 第112回 F-17 (2018/平成30)
- a:自立生活の支援を目指す。
- b:高齢者の尊厳の保持を目指す。
- c:住み慣れた地域での暮らしを支える。
- d:二次医療圏単位でサービスを提供する。
- e:医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供される。
- 解答を見る
-
- a:自立生活の支援を目指す。
- 正しい。
- b:高齢者の尊厳の保持を目指す。
- 正しい。
- c:住み慣れた地域での暮らしを支える。
- 正しい。
- d:二次医療圏単位でサービスを提供する。
- 誤り。
- e:医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供される。
- 正しい。
- a:自立生活の支援を目指す。
介護保険について正しいのはどれか。
医師国家試験 第111回 B-27 (2017/平成29)
- a:被保険者は65歳以上である。
- b:介護保険料は全国一律である。
- c:主治医意見書には要介護度を記入する。
- d:認知機能の障害は介護保険の対象となる。
- e:地域包括支援センターは二次医療圏ごとに設置される。
- 解答を見る
-
- a:被保険者は65歳以上である。
- 誤り。
- b:介護保険料は全国一律である。
- 誤り。
- c:主治医意見書には要介護度を記入する。
- 誤り。
- d:認知機能の障害は介護保険の対象となる。
- 正しい。
- e:地域包括支援センターは二次医療圏ごとに設置される。
- 誤り。
- a:被保険者は65歳以上である。
災害医療について正しいのはどれか。
医師国家試験 第111回 E-07 (2017/平成29)
- a:災害拠点病院は市区町村が指定する。
- b:災害現場では医師は救急救命士の指揮下に入る。
- c:防災体制を整備する地域的単位を二次医療圏と呼ぶ。
- d:トリアージは医師以外の医療職も行うことができる。
- e:災害医療とは災害派遣医療チーム〈DMAT〉の医療活動のことである。
- 解答を見る
-
- a:災害拠点病院は市区町村が指定する。
- 誤り。
- b:災害現場では医師は救急救命士の指揮下に入る。
- 誤り。
- c:防災体制を整備する地域的単位を二次医療圏と呼ぶ。
- 誤り。
- d:トリアージは医師以外の医療職も行うことができる。
- 正しい。
- e:災害医療とは災害派遣医療チーム〈DMAT〉の医療活動のことである。
- 誤り。
- a:災害拠点病院は市区町村が指定する。
医療計画に含まれないのはどれか。
医師国家試験 第109回 B-18 (2015/平成27)
- a:監察医の確保
- b:救急医療の確保
- c:基準病床数の設定
- d:二次医療圏の設定
- e:地域医療支援病院の整備
- 解答を見る
-
- a:監察医の確保
- 正しい。(含まれない。)
- b:救急医療の確保
- 誤り。(含まれる。)
- c:基準病床数の設定
- 誤り。(含まれる。)
- d:二次医療圏の設定
- 誤り。(含まれる。)
- e:地域医療支援病院の整備
- 誤り。(含まれる。)
- a:監察医の確保
- 解答を見る
-
- a:監察医の確保
- 正しい。(含まれない。)
- 根拠法は死体解剖保存法です。
- b:救急医療の確保
- 誤り。(含まれる。)
- 「救急医療の確保」は、まさに5疾病5事業の1つなので、医療計画の内容です。
- c:基準病床数の設定
- 誤り。(含まれる。)
- 医療計画の記載事項の中心は「5疾病5事業・病床数」です。病床を1つでも増やすのであれば、その分だけ医師や看護師が必要となります。貴重なエッセンシャルワーカーを無駄にスタンバイさせるわけにはいかないため、病床の数はある程度の上限を設定して行政がコントロールする必要があります。そのため、人口規模などの数値データから入院ベッド数のMAX、すなわち基準病床数を設定することは、医療計画の重要な論点の1つです。
- d:二次医療圏の設定
- 誤り。(含まれる。)
- 5疾病5事業を提供するため、ちょうど区切りのよい地域を決めることこそが「二次医療圏の設定 」です。広すぎても狭すぎてもダメです。ちなみに、都道府県は47(三次医療圏は52)、二次医療圏は335、市町村数は1,718あります。単純計算で各都道府県に7つの二次医療圏があり(335÷47≒7)、5つの市町村で1つの二次医療圏を構成します(1,718÷335≒5)。暗記する必要はないですが、このような概数を抑えておくことは理解する上でも大切です。
- e:地域医療支援病院の整備
- 誤り。(含まれる。)
- 地域医療支援病院は「救急車の主なの受け入れ先」と「大学病院ほどではないけど、紹介が必要な患者さんへの医療」がメインの役割です。できれば二次医療圏に1箇所はほしいので、医療計画でも記載されています。令和3年10月時点で633病院あり、二次医療圏は335あります。多くの二次医療圏には地域医療支援病院がありますが、例えば沖縄県の「宮古二次医療圏(宮古島市・多良間村)」には地域医療支援病院はありません。
- a:監察医の確保
基準病床数について正しいのはどれか。
医師国家試験 第101回 B-04 (2007/平成19)
- a:医師法で規定される。
- b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
- c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
- d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
- e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
- 解答を見る
-
- a:医師法で規定される。
- 誤り。
- 医師法ではなく「医療法」です。
- b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
- 誤り。
- 短いではなく「長い」です。
- c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
- 誤り。
- 上回っているではなく「下回っている」です。
- d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
- 誤り。
- 医師数ではなく病床数。
- e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
- 正しい。
- a:医師法で規定される。
- 詳しい解説
-
- a:医師法で規定される。
- 誤り。
- 医師法ではなく「医療法」です。「病床」は病院そのもの運営に関わるため、医療法の守備範囲です。
- b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
- 誤り。
- 短いではなく「長い」です。患者さんの退院が遅れるほど、新たな患者さんを受け入れられなくなるので、その分多くの病床が必要となります。
- c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
- 誤り。
- 上回っているではなく「下回っている」です。個人クリニックの新規開業はよく見かけますが、大きな病院の新規建設や増築は滅多に見ないと思います。「実際の病床数(既存病床数)>基準病床数」が成り立っているためです。
- d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
- 誤り。
- 保険医数ではなく「病床数」であれば、「×」とは言えない選択肢でした。(「医療圏」の捉え方が曖昧なため。)そもそも、ドクターの人数を制限するルールはありません。医学部の定員は決まっていますが、卒業後は都会の病院へ就職するドクターも多いです。医師の地域偏在問題の1つの要素とはなりますが、「保険医数の制限」は現実的ではありません。きっとドクターの方々も嫌がるでしょう。
- e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
- 正しい。
- 医療法で定められている病床は①一般②療養③精神④結核⑤感染症の5種類でした。この中で、一般病床と療養病床のウエイトが圧倒的なので、二次医療圏(市町村5つ分ほどの範囲)ごとに算定(計算する)します。残りの精神病床、結核病床、感染症病床も確かに重要な病床ですが、数は多くないので都道府県単位で考えても十分というわけです。
- a:医師法で規定される。
医療法に基づく医療計画で定められている事項として誤っているのはどれか。
医師国家試験 第98回 G-05 (2004/平成16)
- a:1次医療圏の設定
- b:2次医療圏の設定
- c:基準〈必要〉病床数の設定
- d:医療提供施設の整備の目標
- e:救急医療の確保
- 解答を見る
-
- a:1次医療圏の設定
- 誤り。
- b:2次医療圏の設定
- 正しい。
- c:基準〈必要〉病床数の設定
- 正しい。
- d:医療提供施設の整備の目標
- 正しい。
- e:救急医療の確保
- 正しい。
- a:1次医療圏の設定
- 詳しい解説
-
- a:1次医療圏の設定
- 誤り。
- 前提として、「医療圏」と言われたら基本的には「二次医療圏」を指します。一次医療圏は市区町村とほぼ同義で、エリアが狭いのでほとんど使うシーンがありません。逆に三次医療圏は都道府県そのものを指し、北海道だけ例外で6つに分かれています。つまりエリアが広すぎて、これも使うシーンがほとんどありません。ちょうど区切りが良いのが二次医療圏であり、裏を返すと「どのように区切りのいいエリア設定をするか」が医療計画の大切な論点となります。よって「1次医療圏の設定」はバツです。
- b:2次医療圏の設定
- 正しい。
- 5疾病5事業を提供するため、ちょうど区切りの良い地域を決めることこそが「二次医療圏の設定 」です。広すぎても狭すぎてもダメです。ちなみに、都道府県は47(三次医療圏は52)、二次医療圏は335、市町村数は1,718あります。単純計算で各都道府県に7つの二次医療圏があり(335÷47≒7)、5つの市町村で1つの二次医療圏を構成します(1,718÷335≒5)。暗記する必要はないですが、このような概数を抑えておくことは理解する上でも大切です。
- c:基準〈必要〉病床数の設定
- 正しい。
- 医療計画の記載事項の中心は「5疾病5事業・病床数」です。病床を1つでも増やすのであれば、その分だけ医師や看護師が必要となります。貴重なエッセンシャルワーカーを無駄にスタンバイさせるわけにはいかないため、病床の数はある程度の上限を設定して行政がコントロールする必要があります。そのため、人口規模などの数値データから入院ベッド数のMAX、すなわち基準病床数を設定することは、医療計画の重要な論点の1つです。
- d:医療提供施設の整備の目標
- 正しい。
- まず、医療提供施設とは、医療法第1条の2で「病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設」とされています。医療計画での意味合いとしては、5事業(周産期・小児・救急・災害・へき地)を担う医療機関の目標数値を指します。例えば大阪府の第7次医療計画の9ページを見ると、「大阪DMATを3チーム以上保有する災害拠点病院数」を目標19病院とし、平成24(2012)年度11病院だったところ、平成28年(2016)年度には18病院まで改善したことが記載されています。ちなみに、大阪府には「へき地」がないため、あえて「5疾病4事業」と記載されています。各都道府県ごとに必要な医療体制や、それに伴う施設・人材が違うという分かりやすい例です。
- e:救急医療の確保
- 正しい。
- 5疾病とは「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」で、5事業とは「周産期医療、小児医療、救急医療、災害医療、へき地医療」です。ここに「在宅医療」を加えるのが一般的です。5事業の1つである「救急医療」は、医療計画で定めるものの代表例と言えます。
- a:1次医療圏の設定
看護師国家試験
災害拠点病院の説明で正しいのはどれか。
看護師国家試験 第111回 PM-075 (2022/令和4)
- 国が指定する
- 災害発生時に指定する
- 広域搬送の体制を備えている
- 地域災害拠点病院は各都道府県に1か所設置される
- 国が指定する
- 誤り。
- 災害発生時に指定する
- 誤り。
- 広域搬送の体制を備えている
- 正しい。
- 地域災害拠点病院は各都道府県に1か所設置される
- 誤り。
地域連携クリニカルパスについて正しいのはどれか。
看護師国家試験 第103回 PM-046 (2014/平成26)
- 1:診療報酬の評価の対象ではない
- 2:市町村を単位とした連携である
- 3:記載内容は医師の治療計画である
- 4:医療機関から在宅まで継続した医療を提供する
- 解答を見る
-
- 1:診療報酬の評価の対象ではない
- 誤り。
- 2:市町村を単位とした連携である
- 誤り。
- 3:記載内容は医師の治療計画である
- 誤り。
- 4:医療機関から在宅まで継続した医療を提供する
- 正しい。
- 1:診療報酬の評価の対象ではない
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